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「運命共同体である」ということを法律的に表現すると、「共有関係」にあるということになります。
共有というのは、ひとつの物を複数の者でいっしょに所有するわけですから、他の所有者を無視して自分だけで勝手に処分することはできません。
マンションの住戸を想像してください。
例えばあなたは5階建てのマンションの3階にある住戸を所有しているとします。
その3階の住戸は、空中にぽっかりと浮いているわけではなく、敷地の上に建った大きなマンションの柱や床、天井、壁、廊下、階段などに支えられて存在しているのです。
同じように、その敷地や建物は他の区分所有者の住戸も支えているわけで、この土地や建物の骨格部分は、まさに区分所有者全員がみんなで一緒に所有している、これを「共有」と呼ぶのです。
マンションは共同体マンションについて定めた区分所有法という法律では、区分所有者が管理組合という組織をつくり、総会での意思決定に基づいて管理を行うとしていますが、これも、土地建物の共有者である区分所有者が共有物の管理をより民主的に、円滑に行えるようにしたものです。
この点で、改築するのも建て替えるのも自由に行うことができる戸建て住宅と、総会での決議という他の共有者との基本的な合意・集団としての合意形成がなければ許されないマンションとは本質的に異なっているのです。
私たちは土地建物という資産の「保有」と居住という「利用」を多数者が共同で行う共同住宅の本質について、十分な研究や議論をする間もないままに、共同で住まうという現実を受け入れざるを得なかったのではないでしょうか。
もとより、都市の生活者の多くは地域のしがらみや人間関係に縛られない生活を自ら望み選んできた人たちです。
彼らにとって、鉄のドアで隔離されたマンションとは、戸建て住宅以上に他人を意識せずに気ままに暮らせる住宅としての選択であったのかもしれません。
しかし、実際には好むと好まざるとに関わらず、マンションという大きな共同体の一員に組み込まれてしまう、これがおきていわばマンションの提であり、マンションのジレンマなのかもしれません。
私たちの社会は戦後の高度経済成長の中で、大量生産・大量消費のサイクルを繰り返してきました。
次々に新しい商品を生み出し、競うように新しいものを買いあさってきました。
住宅でさえも、消耗品のようにとらえ、数十年のサイクルで住宅を建て替えることに違和感を感ずることもなく消費を続けてきました。
しかしバブルが崩壊し、その後の十数年を経て、私たちの商品選択に変化が見え始めています。
例えば、これまでは消耗品の典型であった男性用の靴の市場では、33万円から53万円の高価な靴を購入し、修理を繰り返このように終身雇用制のスタイルが崩れ、家族の絆など個人を縛っていた価値観の呪縛も薄れる中で、バブルの崩壊を受けて土地は必ず値が上がるという神話も消え、戸建て住宅や土地への熱い執着も薄れつつあるように思います。
土地や建物などの不動産を所有することの価値より、資産をいかにうまく利用して、自分たちの生活の質を高めるかということを大切に考える人たちが増えていますが、その傾向はさらに強くなると思われます。
そのような時に、住宅選びの基準となるのは単純な「資産」価値ではなく、自分たちのライフスタイルや感性にふさわしい住まいであるのか、大切な家族が安心して暮らし、安らぎを感じることができる場であるのか、年齢を重ねても長く住み続けられる住宅であるのか、ということです。
マンションへの永住志向や都心居住志向が高まりつつある背景にも、こうした不動産としての価値よりも、自分たちのライフスタイルを具体化し、家族が将来にわたって安心して快適に生活できる場としての住まいを考えようという流れが見てとれます。
ところが、そのような目でこれまで販売されてきたマンションを見た時、供給されるマンションと購買者の意識の聞には、かなり大きなギャップがあるように思えます。
最近は既存の多くのマンションでも、入りこんだ袋小路からなんとか脱却を試みて、「選択の自由度」「変化への対応力」を備えた新しい方向を模索しようという事例が生れつつあります。
その根底に共通してあるのは「資産としてのマンション」から、「住まいとしてのマンション」への流れです。
「ヴィンテージマンション」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
ヴィンテージワインからの連想でつくられた造語ですが、時間が経つほど味わいが深まる、住まいとしての魅力や価値が高まるマンションをこのように呼んでいるようです。
京都の町家ブームに似たものがあるのではないでしょうか。
そのヴィンテージマンションの代表例として取り上げられるのが、東京港区の広尾ガーデンヒルズです。
このマンションは築30年後の現在も中古市場で非常に高い人気を保っていて、分譲された当時の新築坪単価が約2603万円であるのに対して、2003年の中古坪単価が、なんと約3603万円30%近い値上がりを示しているそうです。
一般的には築30年のマンションの価格を分譲時と比較すると、平均で約30%の価格低下が生じるといわれています。
ところが広尾ガーデンヒルズは値下りどころか値上がりしているのです。
他にも、この広尾ガーデンヒルズほどではないにしても、価格が低下しないマンションが現われています。
官今も高い資産価値をもつ広尾ガーデンヒルズこのような流れには、新しいことを至上の価値とする考えから、より成熟したものの価値を評価しようとする価値観の変化が読み取れます。
時間が経過しても陳腐化することなく価値を維持し続けることが求められる、ここにこれからのマンションが目指すべき方向性のヒントが隠されているはずです。
マンションの建替えに関わりながら実感したのは、どうして20年や30年で建て替えなければならないような住宅が次々と供給されてしまったのか、ということでした。
その背景については、これまでも述べてきましたが、少なくともこれから建設され供給されるマンションに関しては、50年から100年くらいは陳腐化することなく利用できるものでなければならないと思います。
いま求められているのはマンションの長寿化なのです。
大手ディベロッパーの中には「100年マンション」と銘打った長寿命マンションの供給に積極的に取り組んでいるところもあります。
ところで、マンションと戸建て住宅の最大の相違点は、マンションでは土地と建物を区分所有者全体で共有し、運命共同体となる点にあることをこれまで述べてきました。
マンションは専有部分であるそれぞれの住戸「私用」と、区分所有者が全員で共有する建物の躯体、例えば廊下や階段、エレベーターなどの「共用」の部分から構成されています。
しかしながら、これまでのマンションでは、床や壁、天井は基本的に共用部分とされるなど専有部分と共用部分が建物の一部として一体化していたために、所有関係と利用関係をうまく整理できなかったような気がします。
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